年を重ねると1年がとても早い…のに、そのついこの間のように思える出来事の中身は、悲しいかなすっかり忘れていたりする。 そのいい例が梅仕事。毎年やっているくせに、塩はいったい何パーセントにしたんだったか、1年経つとすっかり忘れている。
ということで、今年の梅仕事メモ。
収穫は例年より遅い7月1日。春先の低温が響いたのか、粒が小さくて肌の汚いものが多い。でも、それでもせっかくできた梅。もいで使ってやらねば。
収量は約20キロ。17.5キロを梅干しにした。低塩の限界は10%だとネットのレシピにあったので、今年は13%にしてみた。塩の量はレシピによってずいぶん差がある。わが家にある10年以上前の本では、22%の高率だ。最近は減塩傾向とやらで、少しずつ少なくなっているのかな。でも焼酎や酢を使わない「しょっぱい梅」が本当の味だそうで、ここはなかなか判断に迷うところ。
私は一晩水であく抜きして干した梅に、前年の梅酢をスプレーしながら漬けていくから、塩分はそれほど高くなくても早めに水(梅酢)が上がる。でも、そのあとしばらくカビに注意が必要だ。水があがって赤紫蘇を入れると、その後はカビの心配がなくなるのはなぜなんだろう。赤紫蘇を揉むときに塩を使うから、それが効くんだろうか。いや、紫蘇にも何かカビを防ぐ作用がありそうだ。
今年は梅干用の梅を洗うのが、体力的にしんどかった。大きく元気に育ったときは、肌がつるつるしてきれいなのに、今年は力いっぱいゴシゴシしなくちゃいけないものが多かった。そういえば、元気な植物は、汚れた空気の下でも肌のきれいな実をつける。地面から吸い上げる水も細胞膜で濾過してきれいにするし。植物には浄化のしくみが備わっているんだろうなあ。不思議だ。つまりは、今年の梅の木は元気がなかったんだな。そのわりには、ずいぶんたくさん実をつけたもんだ。
見た目も育ちも悪い、小さくてソバカスのある青梅2キロちょっとはカリカリ梅にしてみた(レシピはネットから)。洗ったら2時間ほど塩水に浸してあくをとり、夫の作った「ゴマすり用の陶製の棒(鬼が持つような形)」でゴリゴリやっては割ってタネを出し(なかなかうまく二つに割れない)、甘酢に放り込む(酢は入れないレシピもあるけれど、発酵するとやわらかくなってカリカリの楽しみが失せるので、発酵止めで酢も投入)。ただそれだけなんだけど、梅もぎ作業の夜やったから、体へとへと。
ま、それでも翌日には梅酢が上がってなんだかもう食べられそうな気配だから、食べる分には問題ないでしょ。1週間したら漬け汁を切って、砂糖と、塩で揉んであく出しした赤紫蘇をまぶしてから、また漬け汁を戻し保存するといいらしい。最後まで、カリカリが残っていたら、成功だな。