新規の仕事を手探りで始めている。トライアルのトライアルが終わって、今度は本格稼動の前のトライアルだ。簡単なものを少しだけもらっての取り組み。校正のほうは、ちょっと待ってね状態で。当初は「まるでわからん、やっぱダメかも」だったものが、時間をかけてマニュアルを眺めるうちに少しずつ見えてくる。
新しいソフトを使っての作業なので、慣れるまでは心臓がドキドキ。入力するだけで心悸亢進。う~ん。午前中やっただけで相当疲れてしまった。
この分野は、以前先輩に教えてもらった特許翻訳とおなじみの校正のちょうど中間あたりだろうか。守秘義務が厳しくて、詳しいことは書けない。単価も思ったほど高くなくて、そのくせ慣れないから時間はめっぽうかかって、いまのところの時給は信じられないほど低い。
でも、不思議なんだけど新しい仕事には高揚感がある。なんだか自分の可能性が大きく広がるような気がして、取り組むのがちょっと嬉しい。できなかったことが、少しずつできるようになるのも嬉しい。慣れてくるとものすごい量をこなす人もいるそうだから、いまがダメでも努力すれば、いつか頼りにできる仕事になってくれるかななんて幻想を抱きつつ。
ただ、ひとつ問題がある。それは自分の名前を失ったこと。いままで学校以外はどこの仕事先も旧姓使用OKだったのに、ここは戸籍名(=振込み名)でないと認められないというのだ。個人情報がどうのこうので管理上すべてが一致しないと処理されないシステムとかなんとか。
小さな印刷所や出版社はみんなOKだった(屋号としてみてくれた)から、当初の申請ほかすべてあたりまえのように旧姓で進めていたのに、途中の書類をそろえるところで言われてしまった。システマチックに管理されてるところは融通が利かないらしい。思いがけない拒否に出あってちょっとガックリしたけど、まあ仕方がない。食べていくことが先決だ。
50代半ばを過ぎて、新しい仕事に出あえたことを素直に喜ぼう。成果はまだあとの話。