確定申告の季節だ。何をしていてもこれが気になる。当方、個人事業主としての経歴だけはやたらに長いけれど、この申告だの経済だのってところはめっぽう弱い。あれこれ悩むくらいなら損しちゃってもいいや、みたいないい加減さで持ちこたえてきた(計算できないおばかさんて、つまりは自分?)。
そういうさして経験のない零細稼業だけれど、いくつかのケースは経験した。「給与収入と事業収入がある場合」「取引先が倒産した場合」。学んだことは(正しいかどうかは別にして)、前者だと「ほどほどのバイトとの並行ケースって意外にお得かも(経費が事業とは別に落とせる)」、後者はもちろん「ただただ悲劇」。どんなにあがいても、弱小外注になんてなにも戻らないと覚悟した方がいい。
で、今週、また新たな経験を重ねることとなった。それは「支払い延期の依頼あり」のケース。倒産その1のときも支払いは前月まではきっちりなされていたから今回初ケースである。
相手はけっこう歴史の長い印刷所。小さな所だけれど仕事はなかなか信用できる。反面、話があるのは不定期で、単価は口約束だし、すべて送料はこちらもち…とデメリット(?)も多い。そんななか続けてきたのは、仕事がいまや少なくなった紙ベースで、昔ながらのルールが随所にちゃんと生きてること、本もそれなりにしっかりした内容で、単行本制作の楽しさが感じられることが大きいかな。あと、大手出版社の下請け仕事で、いただく見本誌はどなたもご存じの出版社から出たことになるから、密かに「○○の仕事してるんだわ」と自負できたりする。恥ずかしながら、こういうことってそれなりの充足感があったかも。
まあ、そんなこんなでここだけはまだ単行本でつながっていたのに、よりによって仕事依頼じゃなく支払い延期依頼が来るなんて。まあ、いくら小さな印刷所といっても校正者への支払いなど、たかが知れているだろうに、それを延ばしてっていうのはどういうこと? 去年の比較的大きな仕事のときは何も言ってこなかったのに。
どんな理由があるにしろ、つまりはここにきて経営がいよいよ厳しくなったということなんだろうなあ。いつ倒産の話が来てもおかしくないという状況か。営業さんは「いやほんの少し延ばしてもらうだけで」なんていうのだけれど、倒産になるかどうかは職員にだって直前まで聞こえてはこないはず。前のときも全くの突然だった。
実はいつもの営業さんの明るい声につられ、一瞬待ってあげようかとの思いも頭をかすめた。でも、そのすぐ後に過去の倒産劇が頭に浮かんだ。そうだそうだ、倒産は怖いんだった、苦い経験はもう沢山だと頭を切り替えて、ここはひたすら低姿勢で「申し訳ありませんが延期はナシで」とお願いをした。
さて、来月の予定日にちゃんと支払いはあるのだろうか。万が一のことがあったとき、なかったことにしようと思うにはちと金額が大きい。内容証明だの簡易裁判所なんて経験はしなくてすむようにと、祈る思いだ。