…と、これは映画ではなく長田弘の詩集の方。20年も前に夫が買ってきて、読んだものは片端から忘れていくのが得意の私だが、このことばはずっと私の中で生きていて、ときおりほらほら呼吸を忘れてると、深い呼吸を促してくれる。
このところ、なんだか息を止めて仕事をしていることが多い。思い出したように息を吸うと今度はふうっとため息で出たりして。この呼吸のしかたは眠い時のこだまと同じ。
二人の子どもを産んだときは必死で呼吸法をやった。ヒ・ヒ・フーの呼吸に意識を集中させることで、陣痛の痛みを逃すのだ。
長女のときはラマーズ法をやる人はまだ少なくて、近くの本屋で雑誌を立ち読みして、必死になってラマーズでやってくれる助産院を探したら、実家の近くに一人だけラマーズ法の助産婦さんがいたのは偶然かはたまた運命だったのか。二女のときもこの人で、朝早くの出産だったため夫と長女に朝食まで食べさせてくれ、とてもアットホームな雰囲気だった。
呼吸法は完璧ではないがそれでも助けにはなる。2回の出産とも助産院でできたのは運が良かったかもしれない。おかげで私は、半世紀にもなるこの人生で一度も入院したことがないと、胸を張ることができる。
この頃は産婦人科医が激減しているそうだが、誰もが医者頼みをするのではなく、特に問題がないお産は助産院でするようになれば、妊婦も気楽に出産できて少子化抑制につながるだろうに。