さわやかな風が吹いて、気持ちのいい朝になった。カラリとした空気。晴れ上がった空の青をバックに光る屋根の瓦。気温も寒からず暑からず。これぞニッポンの純正の秋だと思わせる1日が始まった。
こだまを外に出したら、真っ先にいつもおしっことウンチ。毎日庭のどこでしようか真剣に考えて、毎日違う場所で、それもおしっこはあっち、ウンチはこっちと別々に。
めずらしいくらいいいお天気になっちゃったな、なんて思いながらウンチを回収していたそのとき、突然こだまが微妙な声で吠え出した。壊れかけの門扉に頭を突っ込んで、ちょっと甘えている感じ。そのあと「オウオウ」という声が近づいてきて、ん、誰だ?と思ったら、作業所に向かう大地君とお父さんの顔が突然現れた。
私がしゃがんだまま見上げたら、きょうはなんとお父さんから、「おはようございます」と声をかけてきてくれた! いままでもときどき出会うことはあって、「おはようございます。行ってらっしゃい」なんて声かけはしたことはあったんだけど、ゆっくり進む大地君を何とか自立させたいとあれこれ頑張って取り組んできて、とうとう作業所まで作ってしまったお父さんとの二人連れは、いつもどこか「必死」な感じがあって、返事もビミョウ。その後姿はどことなくなく近寄りがたい雰囲気が漂っていたのだ。
それが、こだまの「ワオワオワオ~ン」みたいな甘え鳴きと抜けるような空のおかげなんだろうか、きょうのお父さんは初めから笑顔でこちらに声をかけてくれて、今まで無言だった大地君も「オウオウ、バイバイ、バイバイ」と手を振りながら何度も自分から声を出していたではないの。
こだまは嬉しくて嬉しくて庭を右に左に駆け回り、オバサンも、思わずウンチを持っていないほうの手を振りながら、「おはようございます、行ってらっしゃ~い」と、笑顔全開になってしまった。
そのあともこだまさまに「ねえ遊ぼうよ、遊ぼうよ」とボールやらぼろきれでお誘いを受けたんだけど、私はまた元気を盛り返してきたピーマンやシシトウを手のひらいっぱいに抱え、とても遊ぶ余裕はなくお断り。
きのうは小さなかたまりだったシソの穂が、きょうはぐんと5~6センチに伸びて、ああシソの実の収穫はもうすぐだ。
こだまには夫の仕事場に入ってもらって、さて、いい1日の始まりだ!