頭の中はあの日を境に変わったんだけど、目の前は何も変わったようには見えない。
空気の中に、あやしいものがあるらしい。
空からパラパラと落ちてきて、目に見えない線を出しているらしい。
いるらしいんだが、わが目には見えない。
においもない。
しかしX線写真には、その線を出す小さいやつがノイズとしてどうやら写っているらしい。
草のうえ、隅っこの石ころ、うちのこだまの鼻のうえ、尻尾のあたりにも。
どうもあちこちにうっすらとうっすらと毎日少しずつ積もっているらしい。
その線がいったい何をしでかすのか。
噂には聞くが現実には見たことがない。
大丈夫だという人がいて、もう逃げ場もないという人がいて。
入ってくるたくさんの情報と知識におびえている。
知らずにいたら、いいお天気で、いい春の日なのにねえ。
新陳代謝を高めて、深呼吸して、まずは明るく暮らすこと。
免疫力を高めて、臆病にはならず、でもちょっとだけ慎重に。
自分の中の生命のもとは、細胞たちは、きっとうまくやる方法を見つけ出すはずだと思うことにしよう。
自分のいる場所でできる努力をして、それでももし何かが足りなかったならもうそれはしかたないよね。できないことは望まないのがいいさ。
何が正解だったかは結局わからないと思うんだ、誰にもね。
自分で自分に、それでヨシって言ってあげるのがいちばん、そんな気がする。