明日はクリスマスイブ。夜はサンタクロースが大忙しだ。
長女はこの時期よく風邪をひいた。夜中にゴホゴホ咳き込んで目を覚ますことも多く、サンタクロースは姿を見られてはいけないと、いつもドキドキしながらプレゼントを持ってやってきた。
お友達が「サンタクロースなんかいない」とそろそろ言い始める年齢になったある年、「ねえ、ほんとはいないの?」と聞かれた母は、「信じる子のところにだけ来るんだよ。信じない子のところにはもう来ないから、代わりにお父さんやお母さんがほしいものを買ってあげるの」と言って逃れたものの、内心のドキドキは大きくなるばかり。
そしてイブの夜、サンタクロースがそろりそろりと動き始めると、例によって風邪ひき娘がゴホゴホを始め、突然むっくり起き上がったではないか! 赤いガウンの和製サンタクロースはびっくり仰天。あわてて姿を隠した。が、どうも見られてしまったような…。ドキドキはいつまでもおさまらない。
ああ、楽しい夢はもう終わりかとがっくりしていた翌朝、プレゼントを手にした長女は目をきらきらさせて叫んだ。
「お母さん、夜中に私サンタを見た!赤い服を着ていたよ!やっぱり確かにいるんだ!」
夢見がちな長女のところには、その後もまだまだ長いこと、サンタクロースからプレゼントが届いた。
そして…とうとうサンタクロースから何も届かなくなったいま、代わりに両親がプレゼントを贈る。
今年はフルーツケーキも頑張って焼いた。レーズンや柑橘が入っているのが嫌いな次女用にはナッツだけ、あとの3本はたっぷりレーズンやみかんの皮と果汁も混ぜた。仕事が忙しくて、夕食を作る片手間に焼いたので、見た目はいびつでちょっと焦げ気味だけど、けっこういい味になった。
娘たちは明日届いた箱を開けて、幼いころのクリスマスを思いだすかな。