有終の美は飾れるのか?!
おそらくはあちらの英文校閲トラブルに端を発した1か月遅れだのに、それを最後に取り戻せとの至上命令に振り回される日々が続く。現場はとてもいい感じで最後を迎えつつあるのに、編集側の周囲に少しひんやりとしたものが漂っているのが残念でならない。最後になって、あのお方の別の顔が見えてきた思いだ。思えば、時折見え隠れするものは何かあったようにも…。
幼なじみのS、何しろパワフルで明るい「姉御」肌。世間では今頃専業主夫が増えてきたが、彼女のところはもう15年以上のキャリアのある専業主夫家庭。彼女が外に出て、夫が家事を担当して、3人の子育ても終盤に近づいてきたその今、彼女が日本に4,000人ほどしかいない難病に罹患しているとわかったのだという。数年前の腫瘍の早期発見・放射線治療が影響しているんだろうか。
急にどうなるというものではないらしいが、これからクスリとの付き合いが続くらしい。入院も自宅療養も「今までできなかったことができて楽しかった」ととらえる彼女。静かな時間ができるだけ長く流れてくれますように。
そして、母方のいとこの急死。下から2番目に若いいとこだったが脳梗塞で、寝ている間に逝ってしまったという。彼の葬儀で久しぶりに出会った多くのいとこたち。頭の中には、親しく行き来して遊んだ幼い頃の顔が浮かぶけれど、現実にそこにいるのはシワシワ・スカスカのオジサンオバサンばかりだ。久しぶりに出会って少し気恥ずかしいのに、話し始めると互いに共有していた微妙なニュアンスがあることに気づく。(こんなふうに書くのは月並みでいやなんだけど)やっぱりこれが血縁というものなんだろうか。
こういう集まりでいつも「活躍」していた母がいない。息子を亡くした叔父は、こんなときに母がいてくれないのがこたえると、私の手をとって涙をこぼした。
少しずつ記憶の中の人が退場していく。